中小企業診断士とは? ―資格保有者が解説―

こんにちは。Kazです。私は2016年に中小企業診断士という資格を取得しました。

あまり聞きなれない資格だなと思う方もいるかもしれませんが、ビジネスの世界ではそれなりに認知度があったりします。

今回はこの資格の概要について説明したいと思います。

今後は、私自身の経験を踏まえ勉強方法や資格の活用についても発信していきたいと思います。

1.中小企業診断士とは?

中小企業診断士とは、中小企業の経営課題に対応するための診断・助言を行う専門家で、「中小企業支援法」に基づき、経済産業大臣が登録する国家資格です。

独占業務はなく、名称独占資格です。

試験の内容から、企業経営に関する網羅的な知識を有することを証明する資格として、必ずしも中小企業支援に関わらない方(大手企業のサラリーマンなど)が取得しているケースもあります。

2.中小企業診断士試験について

資格取得のためには、1次試験(マークシート)2次試験(記述式)口述試験(面接試験)のすべてに合格する必要があります。

1次試験に合格した場合は、その年と次の年に2次試験を受けることができます。

2次試験(口述試験含む)に2回落ちてしまうと、また1次試験からやり直しとなります。

1次試験

1次試験は、幅広い知識を問うマークシート形式で、2日間にわたり7科目が出題されます。

合格基準は「7科目の合計得点率が60%以上かつ得点率40%未満の科目が1つもない」こととされています。(※その年の平均点が極端に低いなどの理由で基準が下方修正される場合もあります。)

また、1次試験は科目合格制度を採用しています。7科目の合計で合格基準を満たすことができず、1次試験不合格となった場合でも、科目ごとの合格制度あります。

その年に60%以上得点できた科目は翌年と翌々年の1次試験で科目免除を受験前に申請することができます。

科目免除を申請した場合も、「受験した科目の総得点が60%以上かつ得点率40%未満の科目がない」ことが1次試験突破には必要となります。(※自分の得意科目であれば得点源になる可能性が高く、むしろ科目免除を申請しない方が良い場合も考えられます。)

・試験科目と配点、時間

科目名配点試験時間
経済学・経済政策100点60分
財務・会計100点60分
企業経営理論100点90分
運営管理100点90分
経営法務100点60分
経営情報システム100点60分
中小企業経営・中小企業政策100点90分

2次試験(筆記)

2次試験は、ある企業の事例が文章で与えられ、その事例に関する設問に対して記述回答(各200文字以内程度)する形式で行われます。

試験は1日間で、「組織に関する事例」、「マーケティングに関する事例」、「生産・技術に関する事例」、「財務・会計に関する事例」の4科目に回答します。

1次試験で身に付けた知識をもとに、事例企業に対して診断・助言する能力が試されます。

合格基準は「4科目の合計得点率が60%以上かつ得点率40%未満の科目が1つもない」ことです。

1次試験とは異なり科目合格制度はありません。

・試験科目と配点、時間

科目名配点試験時間
中小企業の診断及び助言に関する実務の事例 I
(組織に関する事例)
100点80分
中小企業の診断及び助言に関する実務の事例 Ⅱ
(マーケティングに関する事例)
100点80分
中小企業の診断及び助言に関する実務の事例 Ⅲ
(生産・技術に関する事例)
100点80分
中小企業の診断及び助言に関する実務の事例 Ⅳ
(財務・会計に関する事例)
100点80分

2次試験(口述試験)

2次試験(筆記)に合格すると、最終試験である口述試験に進みます。

面接官がその年の2次試験で出題された事例企業4社に関する質問を投げかけ、それに対して受験者が口頭で回答する試験形式で行われます。

メモやテキスト等、一切の資料を持ち込むことができないため、あらかじめ2次試験の内容をインプットしておく必要があります。

中小企業診断士としてのコミュニケーション能力を図る試験で、不合格になることは極めて稀だと思います。

実務補習

2次試験の合格後3年以内に、実務補習または実務の従事を15日間以上行うことで、晴れて中小企業診断士として登録が可能となります。

既にコンサルタント等として独立している方以外は実務補習を受けることになると思います。

指導員の中小企業診断士と共に、5~6人のチームで実際に中小企業を訪問し、中小企業の診断・助言の実務を経験します。

成果物として訪問企業に対して診断報告書の作成・発表を行います。

3. 試験日程

1次試験は毎年8月頃・2次試験は10月頃に行われます。

口述試験までの最終合格発表は年明け2月頃になります。

試験日程は毎年変更されますので、必ず最新の情報を確認するようにしてください。

4. 合格率・難易度

試験合格には一般的に1,000時間以上の学習が必要で、社会保険労務士などの資格と同程度の難易度とされています。

※あくまで一般論でよく比較対象に上がる資格ですが、試験内容が異なりますので一概に難易度を論じることはできません。

年度1次試験2次試験1次×2次
2023年(令和5年度)29.6%18.9%5.6%
2022年(令和4年度)28.9%18.7%5.4%
2021年(令和3年度)36.4%18.3%6.7%
2020年(令和2年度)42.5%18.4%7.8%
2019年(令和元年度)30.2%18.3%5.5%
2018年(平成30年度)23.5%18.8%4.4%
2017年(平成29年度)21.7%19.4%4.2%

1次試験の合格率は20%~40%とバラつきがある一方、2次試験の合格率は毎年20%弱と安定しています。

これは1次試験は絶対評価の試験に対して、2次試験は相対評価で合格者を決めているからだとする声もあります。

1次試験はテキストや過去問でしっかり勉強すれば合格できる試験だと思います。

問題は2次試験で、試験の内容自体が難解というよりは、模範解答や採点基準が公開されていないため勉強方法を確立しづらいという点でハードルの高い試験となっています。

働きながら勉強される方が多く、合格まで平均で2~3年、長い方場合は5年以上かかるケースもあります。

5.まとめ

以上が中小企業診断士の概要です。

今後は試験勉強の方法や資格の実態など深く掘り下げて情報をシェアしていきたいと思います。

中小企業診断士にご興味のある方は以下の公式のウェブサイトもご確認ください。

・中小企業診断士試験

中小企業診断士資格取得を目指す方に中小企業診断士試験のご案内です

・中小企業診断協会

J-SMECA 中小企業診断協会

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